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惑星ソラリス

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郷愁がつきまとう映画だなと思う。
映画がはじまり淡々と進む最初の自然の描写がある。
第二部に至って基地の中で起こっている
不可解な出来事に押しつぶされそうな人達の気持ち。
その心の動きの奥に、遠く離れた場所にある地球に
対しての郷愁が心象風景として残っている
ことで気持ちの揺れがとても効果的に感じられる。

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3時間ある長い映画だけど、首都高のシーンとか、
深くは関係ないけど人間がつくりあげる近未来のイメージ
(当初大阪万博を写す予定だったらしいが撮影許可おりず)
が長い断片として挿入されていて、そうした映像の
余韻が物語の中で言葉では説明しないけれど
実は人間はこういうものなのだからという
多義的な解釈を残したまま進んでいく。

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ファ、ファミリアの看板。

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タルコフスキーの映画に魅せられるのは、
映像の美しさとかもあるけれど、なにより故郷への郷愁、
失われるかもしれない自然への郷愁みたいなものがあって、
タルコフスキーがそういうものがいいと思っていたという
根本があるからじゃないかなと思う。
そのあたり、ドエトエフスキーに関しての知識があると
もっと理解できるのだろうけど、またおいおい勉強しないと。
水は生命をたくわえる、木は水を含み、火は木を燃やす。
映像の記号の要素も、意味があるのかなとか。
あまり詳しくないのであれですが。

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最後のシーンとか、水と、父への寄り添い方とか、
思い切り大きな音が耳元で鳴るかのような衝撃。
ソラリスはソ連自体のような解釈もできるような気がするけれど、
この出ていけないはずの場所に対してのなんとも言えない感情が
最後の気持ちが沸き起こるシーンで、胸の奥に深く染み込む。

映画でしかできないことがこの映画にはあって、
その積み重ねられた時間を後から思うと、とても嬉しくなる
そんな映画なのかなと思ったりした。












by morimoto_a | 2017-02-20 20:03 | 映画 | Trackback | Comments(0)

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